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賃料増額交渉を有利に進めるための処方(継続賃料)

ジュニパー不動産鑑定

更新日:2024年11月24日

賃料増額請求の現状

 近年、賃料の増額請求の対応に関するご相談が増加しております。背景として、特に都心部を中心に地価の上昇や物価高により、賃料が上昇傾向にあることが挙げられます。このブログでは、賃料増額請求の概要と、賃料増額交渉を進めるうえで、不動産鑑定評価書の有用性について触れたいと思います。


賃料増額請求の概要

 賃料増額請求とは、借地借家法11条(土地)、同32条(建物)に基づき、賃貸借契約の途中でも現行賃料が不相当(現行賃料が市場賃料と比較して低位)となった場合に、賃貸人(オーナー)が賃借人(テナント)に賃料の引き上げを請求することができることを指します。その要件として、以下のものが挙げられます:

  1. 地価・建物価格の上昇:周辺地域の地価・建築費等が上昇した場合。

  2. 市場賃料の上昇:周辺地域の市場賃料が上昇し、現行賃料との乖離が生じた場合。

  3. 経済的要因:固都税の上昇など、賃貸人の負担(必要諸経費等)が増した場合。


賃料増額請求の効果

 賃料増額請求は形成権であるため、賃料増額に関する意思表示(内容証明郵便等による通知)が相手方(賃借人)に到達した時点で、将来に向かってその効力が発生します。


賃料増額請求における問題点

 賃貸人から賃料増額に関する内容証明郵便が到達した場合でも、賃借人は借地借家法により、その権利が守られているため、賃借人に増額後の賃料の支払義務が即座に発生するわけではありません。つまり、賃貸人は、別途、賃借人と交渉のうえ、賃料増額に関する合意を取り付ける必要があります。合意が得られた場合は、賃料増額請求の効力が発生した時点に遡って、賃料の増額が確定します。しかし、交渉を進める前提として、現行賃料が不相当であること、また、適正な賃料のありどころについて、賃貸人が客観性をもって証明することは容易ではないと考えられます。


賃料増額交渉を有利に進めるための処方

 そこで、賃貸人側で賃料増額を主張するための客観的な資料が入手できるかが問題となります。一般には、不動産仲介会社等で、周辺賃料の「査定書」を入手することが考えられます。しかし、ここで注意しなければならないのは、査定書における"賃料"は新たに賃貸借契約を締結する場合の新規賃料を指し、相当賃料(継続賃料)には該当しません。すなわち、賃料増額交渉において基準となる賃料は"継続賃料"となります。「継続賃料」は不動産鑑定評価基準によれば、「不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料」を言い、継続賃料を評価できるのは、不動産の鑑定評価を行うために認められた唯一の国家資格者である不動産鑑定士のみです。すなわち、調停等の法的な場において、鑑定評価書は、適正な賃料の証拠として有効となります。そのため、調停まで見越した場合、交渉段階から継続賃料の鑑定評価書を取得することは、賃料増額請求において主導権を握り、交渉を有利に進めるための有力な手段となり得ます。当事務所は、賃貸アパート(サブリース)や店舗の賃料増減額請求に関する評価実績があります。賃料の増減額請求をご検討する場合は、当事務所の賃料の鑑定評価をご検討ください。




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